右にキタ、左はミナミ 下がソラ、上にミズ 後ろにワタシ、前へカケル。

橋の絵を描きたかったのだと思う。

鴨川や淀川のゆれる水の上を、のびのびと進み、対岸へ向かう。橋が空間に織りなす線と、紙の上の筆の動きが重なる。
橋を渡る時間、彼らはもう一度その構造物の力をなぞっているだろう。
その動きは、不可能性への願いをはらみながら、人々を対岸へ送る。

橋は落ちるものであったということ。
向こう側に届くために造られたその構造物が、水に流され揺れ動かされる。気がついたら渡っていた。
それでも、対岸を目の前に、私たちは橋を造り、渡ることを繰り返す。
橋を演劇で描いてみたいと思う。京都・大阪の橋に協力してもらい、
橋に行き、橋の観察、記録、記憶を通してハシを描くワタシたちの姿を風景に。

2011年11月29日火曜日

小屋入り2日目にあたって

制作の川那辺香乃です。

昨日から小屋入りしています。
少数精鋭で乗り込んだ今回の企画。
あわただしくも時間が過ぎていきます。

昨年のちょうど今頃、山口惠子さんに出会いました。
そこからちょうど1年が経とうとしています。
この公演に至るまでに、3回の試演会を行いました。
その創作風景は、橋のように綿密に計画された工程で作られたことは全くありませんでした。

橋に行って、そのとき感じたことを役者が拾い集め、稽古場で出し合う。
自身の故郷の橋や橋の構造、橋にまつわるエピソードなど調べる。
演出と役者、スタッフとの会話、
そういった人と人との交流を経て、ゆっくり細々と、でも着実に
「ハシ×ワタシ」という物語が出来上がってきつつあります。

特に注目してほしいのは、今回の作品には即興部分が2か所入っているということです。
前後のつながりを意識しつつ、役者同士の息を合わせ、自分達が今まで積み重ねてきたものをその場に合わせて組み立てていく。
この手法は山口惠子が一番重要視している部分です。
果たして成功するのかどうか。
ご期待ください。成功確率は急上昇中です。

BRDGは、「海外アーティストとの共演」ということもテーマにしています。
今回多忙な中、パーカッショニストJerry Gordon氏が快く音楽面での協力をして下さいました。
これは全員がとても刺激的なコラボレーションだと感じています。
言語の違いというのは人をネガティブな気持ちにさせますが、
若手アーティストがそうした困難を困難と思わず、舞台上ではかなりクリエイティブに話が進んでいます。
そんな現場を見ていると、新たな可能性がどんどん広がっていくように感じました。

山口惠子には、そういった困難を困難と思わない、なんでもプラスに考える傾向があるようです。

コンテンポラリーダンスだと思う人もいるでしょう。
でもこれを、山口惠子は「演劇だ」と言い張っています。

劇場に来て、観て、みなさんはどう思われるのか?
たくさんの感想が聞きたいです。

ご来場、お待ちしております。

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